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Channel: ことばのれんしゅうちょう
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名が表す体になる

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先ほど、家族旅行から帰ってきた。
夏休み最初の予定はあまりにもQOLが高いものだった。いつかここに書こうと思う。一つ言えるのは「九州は最高」ということである。うむ。
さて、今日は少し前に思ったことを書いてみようと思う。
それは「バンド名」について。
新人の子は観ないことを推奨する(ちょっと内容が早すぎる気がするので…)。

各位、特にアカペラやってる人たちに非常に言いたいのだが、やはりバンド名には慎重になるべきだ。本当に。
最近改めて強くそう思った出来事がある。それは、ある友人のこんな何気ない一言だった。

友人「なんかさ、~tonixってバンド名つけてるPentatonixのカバーバンドって、ちょっと微妙なとこ多くない?」
俺「わかる…めちょわかる…」

激しく同意した。
というか、これだけに限らない。(特に特定のアーティストをコピーするバンドで)バンド名を元のバンドから拝借しているバンドは、なぜか心に響かないものが多いのだ。
なぜだろう。この疑問について考えていた時にヒントを与えてくれたのが、「名は体を表す」という慣用句だった。

上記の慣用句、改めて考えると非常に本質を突いている。
バンド名とは、すなわちそのバンドのアイデンティティを端的に表すものだ。ライブに足を運ぶ客は、まずサイトや看板のバンド名を見る。次に(あるなら)バンド写真を見る。そしてライブを見る。この手順だろう。つまりバンド名はそのバンドの第一印象を決めるものになる。
そこで、元ネタを引用したバンド名(+メンバーの名前的なやつ)をつけると、お客さん視点ではどう映るのか。答えはシンプルで、「歌っている元ネタ以外の情報が一切入ってこないので、バンドの第一印象が一気に薄れる」。これでバンド写真が面白みのないものだったらもう最悪だろう。確実に誰も観に来ない。そして、冒頭にもあるようにこういうタイプのバンドは得てして感動が薄い。
こうなるのはなぜか。それは、「バンドのアイデンティティを元ネタに頼っているから」だ。もっとひどい言葉で言うならば「自分たちの表現したいものが見えてこない」ということ。バンドとしてどれだけ上手くても、そのバンドに個性はない。だから、観てても面白くない。そりゃそうだ、個性がないのだから。

なので、そのバンド自身が輝くためには、究極レベルで完成された音楽を提供するか、元ネタ以外の点でバンドのアイデンティティを獲得するかのどちらしかない(そのどちらもを兼ね備えたのが去年のBOJだったShogo Freeなのだが、正直な話、彼らのバンド名は彼らのレベルまで持っていかないと印象に残らないだろう。彼らを反例として出すには彼らは特殊すぎることを理解しておいた方がよい)。この思考が浅く、その場のノリで適当な名前をつけた結果、全然印象に残らないと言うバンドがかなり多い。写真と衣装もまた然りである。

バンド名は、由来を聞かれた時にバンドのアイデンティティと絡めて答えられるのが1番良い。これからバンドを組む人は、ぜひそういうバンド名を考えてほしい。
新人バンドは1年の時にバンド名を決めるのでそこまで思考を回すのは不可能に近いが、それならばバンド名に合わせた新たなアイデンティティを獲得するように努めるのがベストだろう。ちなみに僕は今これを自分のいる新人バンドで実践している。そろそろこれに関したネタが1本出来上がりそうなので、ちょっとどこかで観せたい。しかし観せる場がない。ううむ。

これは何かの名前をつけるとき全てに通ずるものだろう。
名は体を表すし、逆に僕らは名が表した体になっていく。だから適当なバンド名をつけたら、自ずと自分が適当になってしまう。そりゃアイデンティティがないんだもん。その分、深く考えて伝えたいことをしっかり洗い出した上で、それが伝わるようなバンド名を付けたら、その名前に愛着が湧き、そのバンドのために頑張ろうと思えるだろう。だから、バンド名は本当にしっかり考えるべきなのだ。

「全然覚えてもらえない」「審査も通らない」と嘆く前に、今一度、自分のバンド名を見直してみてはいかがだろうか。

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